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■ レアル・マチヤFC コラム 第1回です。

■ コラム 第1回 ■
「魂のストライカー”男”中山雅史」 中山雅史
山は筑波大にいたときは、はじめはサイドバックをしていたという話しを聞いた。
だから、FWとして大成したのは、普通に考えれば、遅かったということになる。
なぜ、遅咲きと言えるような選手が代表となり、運動量も落ちる39才になろうとする今も現役で点をとれるのだろうか?

中山雅史 Wには、いろいろなタイプがある。
(巻、コラーのようなポストプレーヤー、
本山、メッシといったドリブラー、
イブラヒモビッチ、柳沢のようなチャンスメーカー
インザーギ、佐藤寿人らのストライカーなど)
中山はタイプでいうとストライカーだと思う。
ただ、佐藤のような、スピードはない。
もちろん、テクニックのある選手だと思う人もいないだろう。

トライカーは、点を取るためのポジショニングが非常に重要だ。
だから、それは一定のレベルにあると思う。
しかし、元ウ゛ェルディの武田に比べると中山はポジショニングだけの選手ではないということがわかると思う。
では、中山のストロングポイントは何かというと、当然、気持ちの強さということになる。
気持ちの強さと一言でいっても、人の心の中はわからない。
だから、これは僕自身の考えになるが、メンタル面でストライカーとして必要なものは、「集中力」、「点を取りたいと強く思う」、「自信」の3つだ。

中力というのは、大事で、よく「ごっつぁんゴール」などという言葉を聞いたことがあると思う。
ただ、僕があげてきたゴールの中では、そこにボールが来ることを集中してなくて、予想していないのに偶然に入ったことはほとんどない。
つまり、ただ触るだけの簡単に見えるゴールでも常に狙っていないと取れないということだ。

中力の重要性の説明例として、自分自身の8月の試合を振り返ってみたい。
その試合で味方の右サイドからペナルティエリアへの突破があった。
僕にパスがくれば、1点!と思ったとき、彼はシュートを撃ち、そこで、頭にきて、同時に集中力もプツンと切れてしまった。
ところが、それは、強いシュートでキーパーが弾いたのだ。
コンマ何秒かそのこぼれ玉への反応は遅れてしまい、そして、キーパーとほとんど、同時に触り、得点できなかった。
その試合のラストワンプレーは、フリーキックだった。
枠を外れたり、キーパーがキャッチすればそれまでだ。
キッカーはテクニシャンだから、曲げてコースを狙ってくる。
弾く可能性の高い、弾丸シュートはまずない。
僕は左のファーサイドで、気配を殺すように立っていた。
先程のように、集中力を切らすことはなく。
蹴られたボールは、なだらかな弧を描いてゴール左上に飛んでいき、キーパーはパンチングすることなく、キャッチにいった。
高く上げたキーパーの手からボールが離れたとき、僕の足は既に動きだしていて、こぼれ玉をゴールに押し込んだ。
そして、ホイッスルの笛がなった。

の場面で最後まで、集中力を切らさなかったのは、2つ目にあげた「点を取りたいという強い思い」があったからだ。
フリーキックの前に考えていたことは、「絶対に取る」、「このままじゃ終わらない」っていうそれだけだった。
点を取りたいと強く思うなんて、そりゃ、誰だって点は取りたいって思ってるよ、という意見もあると思う。
でも、極端に聞こえるかもしれないけど、(ロマーリオや釜本も言っいるが)チームの勝敗よりも自分がゴールを取るかどうかが大事だというぐらい得点に執着して、
はじめて、ストライカーとしての感覚を呼び起こすんじゃないかと思う。

とは3つ目の「自信」について。
FWは調子がよくて点を決めてると自信が生まれる。
自信をもってプレーすると自然と自分のところにボールがきたりするので、さらに点を取れる。
あと、余裕が生まれる。余裕があるとゴール前で落ち着いていて、また点を決めることができる。
その逆が点が取れなかったときで、それが続くと、どんどん自信をなくしていく。
そして一番の弊害は、「また、外したらどうしよう」と思ってしまうことだ。
それがプレッシャーにもなるし、思い切ってプレーできないから、
入るものも入らず悪循環になる。もう、ずっと取れないんじゃないかとさえ思うものだ。

ーコジャパンの大久保を思いだして欲しい。
普通にやれば、10試合以上も点が取れないことはないだろう。
点が取れないたびに、大久保には、プレッシャーがかかり本来のプレーができなくなったってことは、いくらかはあるんじゃないかな。

して、中山はテクニックやスピードと言ったものがない分、これらのメンタル面が本当に強いんだと思う。
カズはスピードとテクニックが際立った選手だけど、それは年齢を重ねると、特にスピードなんかのフィジカル面はどうしても落ちてきてしまうものだ。
ただ、中山の「ストライカー魂」は歳を重ねても衰えない。
そここそが、J1とJ2にいる違いなんじゃないかと思うし、まだ点をとることができる理由だと思うのだ。


●コラムのおまけ●
余談だけどW杯の柳沢がゴール前で外したやつ。
僕もFWだからなんとなく予想がついた。
あれは、「集中」して狙っていなかったんじゃないかな。
待ち構えて反応していたら、あんな中途半端なアウトサイドキックには、ならなかったと思う。
これは、中田英寿も同じようなことを言ってたので、そう的外れではないと思う。
あと、他に考えられるとしたら、「自信」の関連で、大きい大会になると決定的なパスにすごくプレッシャーがかかる。
それで、ビビッて硬くなったっていうこともあるかもしれない。
いずれにせよ結果が全てのFWに、たられば、はない。だけど、あそこにいたのが、もし「魂のストライカー”男”中山雅史」がいたら、みなさんはどうなっていたと思う?

終わり

執筆 レアル・マチヤ18番

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